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hatena@raf00

@raf00のはてな出張所

有料サービスが抱える課題 − 少額決済について

Web

b:id:NOV1975さんのご指摘がその通りだなと思ったので序文訂正。
※そういや前に関連の話題に言及してた。
 有料サイトの苦境。近づく無料サイトの限界 - この先、しばらく道なりです
※24日訂正。ダイナーズじゃなくてダイナースでしたねb:id:ramsさん。
 あとNICOSの存在をすっかり忘れてた。


インターネットください
「サイト存続のため、アバター買って」 カフェスタが異例の呼び掛け - ITmedia ニュース
「タダが当たり前」の時代は終わる? カフェスタが「お金払って」と呼び掛けた理由 (1/2) - ITmedia ニュース
有料ネットサービスが成功しないたったひとつの理由 - いつか作ります - 断片部
コンテンツで収入を得ていける仕組みをみんなで考えよう - novtan別館


ここ最近、再度有料サービスに関する話題が出てきているのですが、実際に有料サービスを運営する上での誤解が多くあるので問題がいくつか言及されていなったので、触れておきたいと思ったわけですよ。

今回は「少額決済」について、その難しさを説明したいと思います。

少額決済を妨げる手数料の問題

Webサービスの将来について話をするとき、必ず話として出てくるのが「少額決済システムの搭載」ですが、現在のところ、まともに成り立っているサービスがないということに疑問を感じないでしょうか。
これにはWebサービス屋のアイディアだけではどうにもならない事情があります。

最初に大きな要素として挙げられるのが決済ごとに発生する手数料の問題。
Webの決済手段というとクレジットカードや銀行引き落とし、WebMoneyなどがありますが、これらはタダで利用できるわけではありません。
クレジットカードの利用ごと、銀行の与信ごとにサービス運営者は各カード会社や銀行に対して手数料を払わなければならない仕組みになっています。また、ほとんどの場合各クレジットカード会社と直接やりとりをするわけではなく、決済代行の企業を介するため、手数料はさらに膨れあがります。

たとえば銀行であれば〜50円、クレジットカードが50円〜100円ほど、WebMoneyだと1決済あたり100円強の手数料がかかってきます。

つまり、100円未満の決済を行うと、ユーザーから入ってくるお金よりも、決済のために支払わなければならない手数料の方が高くついて赤字になってしまうわけです。
他諸々の経費を考えると、1決済あたりの最低単価は300円くらいに設定しないと、どうやっても赤字になってしまうのが現在の課金システムの状況です。

決済システムの開発は大変です

また、少額決済に限らず決済システムの構築というのは非常に開発負荷が高いのが制約になってきます。開発と保守に関する工数の大きさはサービスの採算分岐点をすごい勢いで押し上げ、以後の修正開発にも少なからず影響を与えます。
先ほど「決済代行企業を介する」と書きました。自分たちで作れば仲介の手数料分は稼げるじゃないか、と思われる方も多いかもしれませんが、自前で決済システムを構築するのはひどく大変なのです。
まずクレジットカードだけでもVISA・JCB・MASTERS・DC・ダイナース・AMEX・NICOSと7パターン、さらに銀行引き落としを可能とするなら対応銀行分、WebMoneyを使うならさらにそれだけの決済システムを作らなきゃならない。その開発工数たるやどれだけか。費用を回収するためにどれだけの売上を立てなければならないか。
決済システムをまともに作ってかつサービスを黒字にするなど、よほど見込みがあるか見積もりを適当にやっているサービスでないと考えられない。

もちろんサポートコストも馬鹿になりません。売上1000万規模でも課金に関するサポート対応、請求業務で1人月は軽くかかるので、これに耐えられる運営を行わなきゃならない。

後払いは相当まずい

で、決済手数料が問題になるなら毎回の利用ごとではなく、月末に請求する後払い方式にすればいい、と思うかもしれませんが、後払いにした場合クレジットカード以外の決済方法では未払いが大量に発生するため全くおすすめできない状態に陥ります。
僕が以前関わっていた有料サービスでは銀行引き落としを選択したユーザーのうち2割が未払いになるという惨状。その時点での損失もさることながら、未払いユーザーに対する請求業務がさらに運営上のコストとして響いていました。
クレジットカードであればこの状況は回避できるでしょうが、万一サービスが大成功した場合、会員のカード利用情報をクレジットカード会社に一気に送信することになり、それもまた大丈夫なのか…と不安になることうけあいです。

携帯と同じようにはいかない

いや、携帯は成功しているじゃないか!という意見があるかもしれませんが、あれは
 ・携帯を持っている時点で他に登録のいらない決済方法であり、
 ・決済方法としてユーザーに信頼され、
 ・携帯で携帯のコンテンツを得るという逃げ場のない環境である
という3つの要因が前提となっているんです。
運営者側としても決済システムが用意されていること、請求業務が極めて楽なことなど手数料を払うだけのメリットが存在しています。

これをPCにあてはめることが難しいのです。
クレジットカードであれば決済方法として信用はあるものの、情報の重要度が高すぎて入力をためらうユーザーが多い上に、カードを持っていないユーザーも少なくない。
銀行振り込みは多くのユーザーが利用できる物の、即時決済の手段とならず、即時決済を避けると未払いのリスクが高すぎる。
電子マネーは手数料が高すぎてサービス運営者側にとって負荷が高すぎる上に、どの電子マネーもシェアが低くてまともな決済手段として使えない。
プロバイダ一括請求は携帯払いに近い感覚をもたらすものの、プロバイダの数が多すぎてとてもサービスに含められたもんじゃない(ついでに手数料も高い)。

現在PCの支払い方法として考えられる全てが携帯と全く異なる状況なのです。

じゃあ可能性はないのか?

というわけで、現在のところWebではほとんど少額決済のシステムを装備できないでいます。
とはいえ、将来に向けていくつかの可能性は考えられます。
それは「ポイント購入制」。まず一定額のポイントを購入させることで決済回数を減らし、以降は小さい単位で利用できるのがメリット。この方法ははてなや、paperboy&co.の「おさいぽ!」が採用しています。これを実施できるのは「資金的に余裕があり、ポイントを購入しても多彩かつ有益な利用方法があり、近い将来の発展が期待されている」企業に限られますが。