ゲーセンクィーンは古今どんなゲーセンにも発生しうる
- 1.ある程度の集客力のあるゲーセン
- 2.ゲームにまつわるコミュニティが自然発生しているようなゲーセン
- 3.女性客でも遊べるようなアメニティや雰囲気が整備されているゲーセン
- 4.女性客と男性客が、接点を持てるようなゲームが置かれているゲーセン
- 5.ゲーセン以外に女性との接点を持つ機会を欠いている男性がたむろしたゲーセン
このエントリで挙げられている5つの成立条件は、90年代後半以降の郊外型大規模店舗・都市型大規模店舗でのケースとしてはピタリとあてはまるでしょう。
これらの店舗は客が流動的でカップル層が多く賑やかであり、コミュニケーションが取りにくかったため、言及の通り音ゲー・リズムゲーがゲーセン内コミュニケーション発生の重要な契機となりました。
また、追って普及を始めた携帯電話によって、コミュニケーションが一期一会で終わらず、継続したつながりになった点も後押ししていると思います。
で、これ以前。90年〜97年頃のゲーセンでは既に広範囲でゲーセンクィーンたちが存在していました。
そして、現在も(減少しているものの)上記の成立条件に当てはまらない場所で「姫」に関わるトラブルは起きています。
ゲーセンクィーンの発生条件は(2)だけなんですよ、実際。
むしろ集客力のない特定の常連が集まるゲーセンであるほど高頻度でクラッシュするし、(3)の条件を満たさないゲーセンの方が(5)にあてはまる男性が多い。
また、ゲーセンクィーンは1店舗あたり1人いればよいため、気楽に女子が通える環境は必要なく、たまたまゲームが好きだったから・対戦が好きだからといった希少な女子がいるだけで成立しえます。むしろ女子比率が増え男女比率が適正になった近年は恋愛対象が分散し派手なクラッシュが起こりにくいといっても良いでしょう。
ゲーセンクィーンが最も輝くのは紅一点であるタイミングで、この状況下でこそサークルクラッシュは発生します。旧来型のゲーセンの方がゲーセンクィーンが活躍しやすく、特定の常連が固まりやすくなることで派手な崩壊劇が起こるのです。
で、ゲーセンクィーンとゲーセンのコミュニティを語る上で外せないのが「ゲーセンノート」の存在。
このノートがあったことで、「ゲーセンのコミュニケーション」というのは非常に特殊なものとなっています。
かつて、オタク・ゲーマーのコミュニケーション手段として、ゲームセンターのコミュニケーションノートが盛況でした。
ゲーセンの一角に置かれたノートに、ゲームの話題や攻略情報、獲得スコアを書き込んだり、イラストを描いたり、対戦の待ち合わせを書いたりするものですが、このノートに継続して書き込む人たちが知り合いになっていき、1つのコミュニティを形成するようになります。
ノートが置かれることをきっかけに、全国各地にゲーセン単位でのコミュニティが生まれていたのです。
ゲーセンノートの存在によって、ゲーセンではその規模を問わず、濃密なネットワークが存在していました。店舗単位でのみ成立する、日夜顔を合わせる極めて濃密な、そして暇な男性ばかりのネットワークです。
そして、常連の会話が、イラストがぎっしり描き込まれたノートをたまたまゲーム好きの女性が発見し、書き込みをしたとしたら。
もはやその後は語るまでもないことで。
というわけで98年以前の状況についてちょっと書いたわけですが、ゲーセン文化が死につつある今、ゲーセンノートを振り返り軽くまとめておかねばと思ったりしましたよ。
資料:当時のオタクコミュニケーションについてはid:kanoseさんが98年に言及されています。
当時の空気感がわかる非常に素晴らしい資料です。
ARTIFACT −人工事実− : オタク定点観測 第3回 今、繋がっている感覚